木曜日, 3月 22, 2007

普通にして天才.

数日前、本屋さんにkaeruさんとちびちゃんと三人で行ったとき、まだ全巻そろっていない中井英夫全集があったので、購入.
久しぶりに、中井英夫の文章を斜め読み.
この巻はエッセーなので、どこから読んでも楽しい.

中井英夫は泉鏡花賞を受賞したものの、とても地味な作家だ.
そして、とてもスタイリストでどの文章もとても考え抜かれている.
ただ、自分自身では凡人の罪意識が強かったのは間違いない.
普通にして天才.
中井英夫は、本来であれば、豪華本で全集が刊行されるべき作家だが、このように文庫本の全集としてしか刊行されていない...
とても残念なことだ.
彼は凡人ではないのは作品を読むとすぐにわかるのだが、彼の周りが超天才ばかりだったのが不運だったのかもしれない...
三島由紀夫、澁澤龍彦...つねに彼らと一緒にいたのだから...
そして、自分だけ残され、みんな早死にしてまい、生きていることが罪だと、そう感じていたようだ...

そんな中井英夫も、もういない.
ちょっとだけ、彼のエッセーから引用.

「・・・そこには必ず手作業という辛気くさい・いろんな・湿った・不正確な・効率の悪いエトセトラがつきまとう筈だが、実をいえば私もそれが好きでたまらないというのが本当にいいたいことである」

これは、1980年頃に書いたエッセーだが、コンピュータが漢字を扱えるようになったことに対しての文章の抜粋だ.
今もそうだが、コンピュータはとても便利だが、全てをシステムがやってくれないのは、28年前とそう変わりはない.
やはり、手作業はなくならないし、もしなくなったら、何も生み出されることはなくなるのかもしれない.
この抜粋を読んだだけでもわかるように、中井英夫は、新しいモノ(コンピュータとか)にとても敏感で、否定するのではなく受け入れた上で、やっぱり、アナログな方法が好きでたまらないと、書いている.

彼の作品は、「虚無への供物」と泉鏡花賞の「トランプ譚」以外は、ほとんど初版だけで絶版となっている...
文庫化もほとんどない...
とても残念だ.

kaeruさんは、中井英夫が死んだ後に出版された、「黄泉戸喫 」の表題作が大好きで何度も読んでいます.
ただ、黄泉戸喫 は、この作品は絶対に世に出さないと生前は出版されることはなかった.

2 件のコメント:

yaritake さんのコメント...

お世話になっております。
お元気でしょうか?
デジタルがお茶の間に浸透してから
四半世紀以上たつというのに
デジタル>アナログ問題はいろいろな分野で
まだまだ語られているのですね。
僕の趣味、DJの分野でもありますよ。
長くなるので今度お会いしたときにでも。

loser さんのコメント...

こんにちは、やりたけさん.

先日は、レコード鑑賞会をドタキャンしてしまい、ごめんなさい...<_o_>
kaeruさんはその後検査治療をして、はやくも復活しました;^_^)とりあえず、よかったです.

デジタルVSアナログの問題はこれだけデジタル圧制だけれど、最近では単なる便利ツールということがみんなわかってきたのか、アナログ的に回帰しているような感じですよね.
胎内回帰とでもいいましょうか...(笑)
結局は、人間、デジタルに支配されるわけにはいきませんので、そのあたりを本能的に感じているのかもと、思ったりしています.
やっぱり、長くなるので、今度ゆっくりと!